就労移行支援とは、難病や障がいを抱える人が社会復帰や就労を目指すための支援制度です。
この制度を利用することで、本人の希望や能力に合わせた就労環境を整えることができます。
しかし、利用にあたっては注意すべき点もあります。以下では、就労移行支援のメリットとデメリットについて解説します。
就労移行支援を使うメリット
就労移行支援事業所を利用することで得られるメリットは多岐にわたります。
体調・生活リズムの安定化
就労移行支援事業所に定期的に通うことで、就職時と同じような生活リズムを身に付けることができます。
生活リズムが一定になれば、体調や精神面も安定してくるため、仕事のパフォーマンスも向上するでしょう。
また、「就労移行支援事業所に安定的に通っていた」という点は、就職活動の際にもアピールポイントになります。
自己管理能力の向上
就労移行支援事業所でプログラムを進めることで、自分の強みや弱点、障害のデメリットについて深く理解することができます。
自己管理能力を身に付け、「どのような配慮が必要か」「どのような工夫が業務遂行に必要か」といった点を職場の人に正しく説明できるようになれば、希望する配慮を適切に受けられます。
協調性・コミュニケーション能力の形成
一般企業で働く場合、協調性やコミュニケーション能力は必須です。
就労移行支援事業所であれば、周囲の人も障害や難病を抱えた人が多く、集団生活に慣れやすい環境が整っています。
障害に理解のある人からサポートを受けられる
就労移行支援事業所では、就職後の悩み相談などにも対応する定着支援が提供されています。
自分自身や障害についてよく理解しているスタッフが、引き続きサポートしてくれることは、利用者にとって大きな利点です。
また、事業所に通うことで、同じ障害や悩みを抱える仲間と出会うこともできるかもしれません。
就労移行支援を使うデメリット
就労移行支援は、障がいを持った人が社会復帰するための支援制度です。しかし、その利用にはいくつかのデメリットがあります。
最短でも2〜3ヶ月期間がかかる場合がある
まず、最短でも2〜3ヶ月期間がかかることがあります。ハローワークやエージェントサイトを利用する場合、早ければ1ヶ月以内に就職できることもありますが、就労移行支援は就職に向けてじっくり時間をかける制度であるため、時間がかかる傾向にあります。実際に利用者が就職するまでの平均期間は1年弱です。
拘束時間が長くなる場合がある
また、就労移行支援は週5日・1日5〜6時間ほど通うことが基本であり、通所時間を含めると毎週30時間以上かかるため、他の方法に比べて拘束時間が長くなることがあります。通う間は無収入であり、訓練として作業した場合に工賃が支払われる場合もありますが、それでもお小遣い程度の金額です。
自己負担費用がかかる場合がある
就労移行支援に通うためには費用がかかります。利用料、交通費、昼食代、身だしなみの費用、就職活動費などが挙げられます。利用料は収入によって決まりますが、両親や兄弟の収入は対象外であり、実際の利用者の9割以上は自己負担0円で利用しています。交通費や昼食代は自治体や事業所によっては支給される場合がありますが、自己負担となる場合もあります。最終的に就職活動をする際には、スーツの購入費や交通費なども自己負担になることがあります。
就労移行を使うメリットやデメリット：まとめ
就労移行支援を利用することで、難病や障がいを抱える人が社会復帰や就労を目指すことができます。
本人の希望や能力に合わせた支援を受けることで、自己実現や自己肯定感を高めることができます。
ただし、利用には費用がかかる場合や、サポート内容に差がある場合があるため、事前に十分な情報収集が必要です。
また、支援を受けることで就労環境や人間関係のストレスが発生する場合もあるため、個人の状況に合わせて利用することが大切です。
